ネット広告での出稿先の選定は、広告を出す上で最も重要だと言える。
例えば、あなたが10代〜20代の女性をターゲットにした化粧品を売る会社の販売員だとしよう。店頭に立ち、店を行き交う人々に商品の魅力を伝えるために声を掛ける。
あなたはその時、40代の男性に声をかけるだろうか。


答えはきっと「NO」だ。

これは説明をしなくとも全員が理解できると思う。
そもそもターゲットが若年層の女性であるならば、40代、ましてや男性には声をかけないだろう。
仮に声をかけたとしても、その化粧品は売れない可能性が高い。
商品の売上をあげるには闇雲に声をかけるのではなく、需要と供給のあったターゲットに声をかけ売り上げを伸ばしていくのが基本だ。

ではネット広告の世界ではどうであろうか。
若いユーザーをターゲットにした商品ならば、もちろん若いユーザーへの訴求力の高い配信面に広告をだすべきだ。中高年をターゲットにした商品ならば、若者が集まるSNSよりも他に効果の高い配信面へ広告費を使うべきだ。

もし今あなたがそこを理解せずに広告を出稿しているのならば、人先ず待ってみてほしい。
ネット広告にも、ターゲットごとに適した配信面がある。
この記事で広告出稿先の選定をよく理解し、あなたの売りたい商品の広告が、あなたの商品を買いたい人へピンポイントに届けられるよう少しでも役に立てれば幸いだ。

1.基本的な広告の種類


ネット広告は主に「純広告」と「運用型広告」の2つにわけられる。
この2つの広告の主な違いは、広告にかかる費用の決まり方だ。

純広告とは

特定の広告枠を買い取り掲載する広告のこと。
最初から広告出稿にかかる費用が決まっている。他にも掲載される場所や、広告配信の期間がすべて固定となっており、運用型広告に比べて莫大な費用がかかる。また、決められた期間の途中で配信を止めることは基本できない。

運用型広告とは

純広告よりも少ない予算で始められる。
広告配信期間に決まりはなく好きな時に配信停止が可能。広告を配信するだけでは基本費用はかからず、広告をクリックされて初めて費用が発生する。
また、1クリックあたりにかかる費用はオークション形式で決められるため、広告を出稿してみないと金額はわからない。ただし、1日あたりの予算設定ができるため、おおまかな予算内での配信は可能。しかし、常に目立つ位置に広告が配信されるとは限らない。

今回この記事で詳しく説明をするのは「運用型広告」について。
純広告は広告予算が数百万単位でかかるが、運用型広告は1000円からでも始められる。好きな場所に広告を出し好きな時にやめられる運用型広告は、いわばあなた好みで作れるオーダーメイド広告なのだ。
ただし、運用型広告は自由な反面、広告を運用するノウハウやスキルが非常に重要でもある。
また上述した通り、ターゲットごとに見合った場所へ広告を配信しなければ、あなたの1ヶ月にかけた広告費はほとんどが無駄になるだろう。そこを十分に理解した上で本記事を読み進みてみてほしい。

運用型広告の種類

それでは運用型広告の種類を説明していこう。
一概に運用型広告といってもかなりの種類があるため、今回は絶対に頭にいれてほしい広告を大きく3つにわけて説明していく。この3つを理解できれば、基本的なネット広告を運用していくうえでは問題ない。

①リスティング広告

運用型広告の中でも基本中の基本といえるリスティング広告。
別名「検索連動型広告」とも言われ、ユーザーがGoogleなどの検索エンジンで検索した際に、その検索したキーワードに関連して表示される文字のみの広告のこと。
主にGoogle広告やYahoo広告で出稿が可能。

②ディスプレイ広告

文字のみが表示されるリスティング広告と違い、画像や動画を使った広告のこと。
リスティング広告に比べて訴求力が高く、幅広い認知拡大に向いている。

③SNS広告

名前の通りSNS(Instagram・Twitter・facebook・LINE等)に出す広告のこと。
2020年現在、ICT総研の調査によるとSNS利用者数は約7,786万人(普及率80%)といわれている。SNSを利用することが普通となった今では、SNS広告を利用しない手はない。

2020年度 SNS利用動向に関する調査

2.主な広告出稿先の種類と特徴

さて、ここからが本題だ。
ターゲットごとに広告の出稿先を選定する、これはネット広告での基本中の基本とも言える。この基本を絶対に疎かにしてはいけない。

広告出稿先として絶対に避けてはいけない「4大広告」はこれだ。

  • ネット広告界で広告費50%の割合を占めるGoogle広告
  • SNS広告ではNO.1の規模を誇るfacebook広告
  • 中高年やパソコン利用ユーザーからの指示が熱いYahoo広告
  • 2次拡散に期待大!Twitter広告

今回は4大広告ともいえるこの4つを軸におき、ターゲットごとに出稿先の選定方法をお伝えしていく。今あなたが広告を出している、もしくはこれから出そうと思っているのならば、必ず上記4つの中に相性抜群な広告出稿先があるはずだ。
また、運用型広告は広告代理店などの法人でなくとも個人でも出稿できる。特に決まった事前の手続きなどもないため、慣れている人であればものの15分で設定ができ広告を配信することもできるだろう。個人で配信を検討している人にも、是非本記事を読み進めてみてほしい。

ネット広告業界でしめる広告費の割合は驚異の50%!広告界の王道Google広告

まず1つの目に紹介するのはGoogle広告だ。Google広告はアメリカのGoogleが提供する広告主向けのプラットフォームである。
普段から携帯やパソコンで何か調べ物をするときに、Googleを立ち上げ文字を入力し、検索をかけた経験がきっとあなたにもあるのではないだろうか。Google広告は“ネット広告では避けて通るべきではない広告の1つ”だ。それはなぜか?
本記事ではターゲットごとに適した広告出稿先をお話ししていく予定だが、Google広告は全てのターゲットに適していると言える出稿先である。

  • 全ターゲットに適していると言える理由はこれだ。
  • Google利用者数は他の検索エンジンに比べて群を抜いて断トツの1位
  • 老若男女のユーザーが数多く利用している
  • 訴求力が高いYouTubeに広告を配信できる

日本国内の検索エンジンのシェアはGoogleが約80%なのに対し、他の検索エンジンは20%以下と言われている。これだけ多くのユーザーがGoogleを利用しているため、幅広い年代・収入・趣味思考をもつユーザーが存在しており、広告を配信するターゲットを細かく設定することができる。
また、YouTube利用者数は全世界で19億人、日本だけでも約8000万人近くいると言われている。昨今はコロナの影響で外出せず自宅で楽しむ人が増えたことに伴い、YouTube利用者数も日に日に増えてきているようだ。動画を使った広告は文字だけを用いる検索連動型広告と比べ、格段に商品の良さを伝えやすくユーザーへの訴求力が高い。今この時代にYouTubeを活用しない手はないだろう。

広告初心者の人には、まず初めにGoogle広告に挑戦してみてほしい。Google広告では主に以下のことができる。

  • リスティング広告(検索連動型広告)
  • ディスプレイ広告
  • ショッピングキャンペーン
  • 動画広告
  • アプリキャンペーン

自社のサイトに人を集めるだけでなく、認知の拡大やアプリのインストール数増加などにも広告を活用することができるのだ。

SNS広告ではNO.1の規模を誇るfacebook広告

今じゃSNSの普及率は約80%。利用者数も年々増加傾向にある。
特に若者の間ではSNSを利用して友達をつくったり親睦を深めたりと、SNSはなくてはならない存在となっている。
facebook広告と聞くと、facebookにしか広告をだせないと思われがちだがそれは違う。
2020年SNS利用者満足度を調査し見事1位に輝いたInstagramに広告を出せるのが、facebook広告なのだ。
よくInstagram広告という名前も耳にするが、大元はすべてfacebook広告となる。

中高年やパソコン利用ユーザーからの指示が熱いYahoo広告

検索エンジンでGoogleにつづいて国内シェアNO.2を誇るYahoo広告。
Googleに比べると利用者数は少ないものの、中高年やPCユーザーからの指示が熱い。
また、他の広告に比べ比較的広告を上位表示させやすいというメリットもある。
Yahooは国内の会社であるため、広告出稿について不明点があれば、すぐにコールセンターなどで質問して対応してもらえるというのも良さの1つだ。

2次拡散に期待大!Twitter広告

ネット広告はクリックされて初めて費用が発生するケースが多いが、それでも広告を多く表示させるためにはそれなりの予算が必要である。
しかしTwitter広告のいいところは、その広告をみたユーザーがいいね!やリツイートをしてくれることで自然と広告が広まり、想定よりも少ない予算で認知度拡大や売上向上に期待ができることだ。
ただ、Twitter広告を使うにはTwitterのアカウント作成が必須となる。
また、Twitterをアカウントを作成し数週間経過しないと広告を出すことができないため、まだアカウントを持っていない人は注意が必要だ。

3.広告出稿先は目的ごとにも変わる

基本的な広告出稿先の特徴はご理解いただけただろうか。
ではこれより、あなたの出したい広告がどの出稿先と相性がいいのか一緒に考えていこう。
まず考えるにあたって大事なポイントはこれだ。

「広告の果たしたい目的は何なのか」

この判断は非常に重要だ。
広告を使って、まずは商品やサービスを知ってもらうことから始めるのか。
それとも、既に認知はされているが同業者と差別化をつけるために広告を出し売上アップを狙うのか。あなたの目的によって広告の出し方は大きく変わる。

認知拡大を目的とする場合

まずは認知拡大を目的とする場合から説明していこう。
あなたが新しいサービスを始めた、もしくは新店舗をオープンしたからたくさんのお客様にお店へ来店してほしい。このような目的の場合、まずはユーザーへ認知してもらうことから始める必要がある。

そんなときに使ってほしい広告は画像や動画を使用した広告だ。
文字のみの広告はユーザーが検索エンジンで検索をしないと表示されない。
それに比べ画像と動画の広告は、ユーザーがなにげなくSNSを利用していたりYouTubeをみているときに突然広告が表示される。
その結果、元々サービスに関心がなかったユーザーも広告をきっかけに興味を持ち始め、その結果認知拡大やコンバージョンへとつながるのだ。

認知拡大を目的とした広告を配信する場合には、是非とも画像か動画を準備してほしい。
デザイナーが社内にいるなら必ず広告のための素材の準備を依頼しよう。
専門的な知識を持つ人が社内にいない、もしくは個人でやっている方は、社外やフリーランスに外注するなどして素材を準備しよう。
また、画像の場合は1枚ではなく5枚ほど準備したほうがユーザーへの訴求力は高まる。

画像を複数枚準備できるならばFacebook広告を活用しよう。
画像単体の広告はGoogle広告やYahoo広告などでも出稿できるが、複数枚あるのであればfacebook広告のカルーセル広告を使うといいだろう。
カルーセル広告はfacebookやInstagramに配信ができる。
画像を複数枚投稿しストーリー仕立てに商品やサービスをアピールすることで、ユーザーのエンゲージメントが高まりやすい。

同業者との差別化を付けたい場合

次に、すでに認知はされているがさらに同業者との差別化を付けたい場合に有効なのはリスティング広告(検索連動型広告)だ。
例えばユーザーが脱毛サロンを探しているとする。
そんなときに「脱毛サロン おすすめ」と検索をかけあなたのお店の広告が1番目立つ位置に表示されるとどうだろう。ユーザーは高い確率でその広告をクリックする。
広告を出していなければ、あなたのウェブサイトを見てもらえるチャンスがなくなってしまうのだ。

また差別化を付けたい場合にも、画像や動画を準備できるのであれば、SNSを活用しリターゲティング広告も出稿しよう。リターゲティング広告とは、1度サイトに訪れたことのあるユーザーに対して広告をうつ配信手法だ。
サイトには訪れたがコンバージョンには至らなかったユーザーに対して、画像などの訴求力の強い方法で広告を再度見てもらうことで、コンバージョンになる確率が初回よりもグッと高まる。
リターゲティングの設定は1度のサイト訪問のみではなく、過去30日以内にサイトを180秒閲覧したユーザーや、過去7日以内にサイトに2回訪れたユーザーなど、あなたの希望に合わせて細かく設定ができるのも魅力だ。

4.広告予算にあわせて出稿先を考える

「広告予算を月に100万かけられる」という企業は中小企業の中には少ないだろう。
月に100万かけると年1200万だ。それに追加して広告代理店への代行費、ウェブサイトの保守代等がかかってくるため、実際には1200万以上にかかってくる。
中小企業であれば月の広告予算は20〜60万円程度が多いだろう。
しかし、広告出稿先として紹介したGoogle広告・facebook広告・Yahoo広告・Twitter広告すべてに広告を出し、すべての媒体で高い効果を得たいと思うのであれば、正直月50万以下だと厳しい。

例えば月予算40万で上記4つの広告を出稿するとする。Google広告にかける費用は4分の1で10万円。10万円を1ヶ月で消化するための1日予算は約3300円。3300円でGoogleで検索をかけたときに、あなたの広告が常に目立つ位置に表示されるのか。それはかなり難しい。
もちろん、広告を上位表示させる手段はお金だけではない。登録するキーワードや広告文、LPの関連性などでもGoogleからの評価がかわってくる。
ただ、少ない予算で完璧な効果を得るにはやはり限界があるのだ。

とは言っても広告予算を急にあげるのは難しいだろう。
だからこそ広告の出稿先をきちんと吟味してほしいのだ。4つの広告すべてに配信するのではなく、あなたのターゲットに対して1番効果を見込める配信先だけに広告費をかけるのだ。広告予算が50万以下なのであれば、出稿先は2つに絞るのが無難だろう。

5.年代別おすすめの広告配信方法

若年層ターゲットへおすすめの広告配信方法

いまやスマホをもつのが当たり前の時代になってきた。SNSの普及率も年々高くなる。
推奨はできないが歩きスマホをする若者は街を見渡せばたくさんいる。
そんな時代に、看板の広告や折込新聞チラシの広告、フリーペーパーの裏面に載っている白黒の広告をどれだけの若者が見ているだろうか。見ているとしても、その広告きっかけにコンバージョンに至るユーザーはいったいどれだけいるのだろうか。
こんな時代だからこそ、若年層をターゲットにしているのであればネット広告をフルに活用しよう。

もちろんおすすめはSNS広告だ。
SNSの中でも絶対に出稿してほしい配信面はInstagramである。
Instagramの利用者数は約3300万人。なんと日本人の4人に1人はInstagramユーザーということになる。Instagramは女性が多いというイメージをもっている人が多いようだが、実は国内の利用者の43%が男性というデータも発表されている。
ターゲットが男性であってもInstagramであれば高い効果を期待できるだろう。

中年層ターゲットへおすすめの広告配信方法

中年層であればSNSは向いていないのか。いや、そんなことはない。
若年層に比べればInstagramでの効果は低くなる傾向はあるが、中年層からの指示が集まる傾向にある配信面はFacebookだ。
そして、是非facebookと併用してほしい広告がYahoo広告である。Yahooの利用ユーザーの特徴として、40代以上の利用者とパソコンの利用者が多い。また、他社に比べ年収1000万以上の高所得者が多く利用しているというデータも出ている。
また、10代〜20代までの男女利用比率はほぼ互角だが、30代をすぎると男性の利用比率が大きくなる。

https://yahoojp-marketing.tumblr.com/post/183302031443/20190308


この結果をふまえると、あなたのターゲットが中年層の高所得な男性であるならば、Yahoo広告は必要不可欠な出稿先であると言えるだろう。

6.まとめ

今回は、ネット広告で最低限必要な知識の1つであるターゲット選定について説明した。
本記事を最後まで読んでくれたあなたなら、ターゲット選定がいかに大切か、そしてどれだけ奥が深いのかお分かりいただけたであろう。
是非とも、あなたの今後の広告運用に活かしてほしい。