一昔前まで、広告といえばテレビCMや看板、雑誌やチラシといった媒体がほとんどだった。
どれも莫大な広告費がかかるうえ、いざ広告を出そうとしても事前の打ち合わせや準備が大変ですぐに対応できず、効果が悪かったからといってすぐに辞められるものでもない。
それが今ではどうだろう。
ネット広告が普及してからは、少ない広告予算でもネットに広告を出せるようになり、広告経由で得た売上の計算なども簡単にできるようになった。

Web上で「ネット広告 やり方」と調べると多くの記事がSEOで上位にあがってくる。
ネット広告の教科書なんて買わなくとも、無料で資料を手に入れることができ、初心者でもすぐにネット広告を始めることができる。
そんな手軽なジャンルとなったネット広告だが、いったいどれだけの人がネット広告の重要性を理解できているのだろうか。
ネット広告のHow toは理解できても、その本質までは見抜けていないとわたしたちは推測する。

本記事では、ネット広告の具体的なやり方を理解する前に頭に入れて欲しい3つの事や、誰しも経験しうるネット広告の怖さについて解説していく。
これらを頭に入れるだけで、あなたのこれからの広告運用の考え方や、これから広告を始める人にとっては大きな道標となるであろう。

1.ネット広告で成功すると見えてくる世界

まず先に、ネット広告で成功するとどういう世界が見えてくるのか説明していく。
まず誰もが先に思い浮かぶのは「売上」だろう。
ほとんどの広告主は、自社サービスの売上をあげるために広告費を投入しているはずだ。
では、ネット広告から得られるものは売上だけなのか。いや、そうではない。
わたしたちは他にも、売上以上に価値のあるメリットが多数あると考える。
特に重要視して欲しいメリットはこの2つだ。

  • 見込み顧客リストの獲得
  • ターゲット層の確立

どちらも広告を運用していかないことには手に入れることができない貴重なメリットである。
それでは順に説明していこう。

見込み顧客リストの獲得

見込み顧客とは、商品やサービスに興味を持ち、購入や問い合わせをしてくれそうな「見込みのある」顧客のことを差す。
そして見込み顧客リストとは、文字通り見込み顧客をリスト化したもの。
これはネット広告をだすうえで最も重要であるとわたしたちは提唱している。
例えば、紙媒体に広告を出した場合に、毎月何人が紙媒体の広告経由で集客できているのか数値化することはできない。それだけでなく、せっかく高い広告費を使って集客したにも関わらず、大事な顧客データは手元に残ることはないのだ。
これがネット広告になると、すべてが数値化され、どれだけの時間が経過してもデータはWeb上に残り続ける。かつ、コンバージョンした顧客の情報(年齢・性別・使用しているデバイス・サイトへの滞在時間・どこを経由してコンバージョンしたのか等)を手に入れることができる。
これは会社が成長するためには欠かすことができない貴重な財産となり得るデータなのだ。

この見込み顧客リストが集まれば、類似ターゲティングという手法を使うことができる。
類似ターゲティングとは、あなたのサイトを訪れた人や、あなたのサイトからコンバージョンに至った優良顧客のデータを集め、それらのデータを元に広告を配信する手法だ。
つまり、あなたの会社のお得意様によく似た趣味や思考を持つ新規ユーザーへ、集中して広告を表示させることができる機能である。
ネット広告は見込み顧客リストを獲得するだけでなく、新規ユーザーを開拓する手助けもしてくれるのだ。

ターゲット層の確立

ビジネスをするうえでターゲットを設定することは非常に重要であるといえる。
女性向けに開発した化粧品であれば、女性に向けて広告を出す。
男性向けに開発したビジネスバッグであれば、男性に向けて広告を出す。
ここまでは誰でも簡単に想像できることだが、実際にあなたの商品を購入にいたる可能性の高い見込み顧客は、果たして20代の女性なのだろうか。40代の男性なのだろうか。
はたまた、その人の世帯年収はいくらくらいなのか、子供はいるのか、どんなデバイスを使っているのか。そこまでは予想はつきづらいはずだ。

現時点では曖昧だったターゲット層も、ネット広告を出すことで全てがデータ化され、あなたが最も売り込むべきターゲット層を確立することができる。
ターゲット層が確立されれば、ネット戦略だけでなく、店舗での販売でもそのデータを生かすことができるだろう。

ターゲット選定やターゲットごとの広告出稿先ついてはこちらの記事でもご紹介している。まだご覧になってない人は是非1度目を通してみてほしい。
ネット広告成功の秘訣はターゲット選定にあった!基本から応用まで徹底解説

2.広告運用で理解しておくべき重要事項

さて、ネット広告から得られることを理解してもらったところでここからが本題だ。
成果を出すためには運用のノウハウがもちろん重要である。
しかし、ほとんどの広告運用者がノウハウの習得ばかりに気をとられ、基本的な広告運用自体の考え方や重要なポイントを見落としているように思う。
あなたが広告運用初心者なのであれば、是非先にこれらのポイントを念頭に置いたうえでネット広告に取り組んで欲しい。
すでに運用に取り組んでいる人は、これからお伝えしていく内容をきちんと理解できていたのかどうか、頭の中にチェック項目を作り読み進めていってほしい。

広告運用は長期戦と捉える

ネット広告を始めたからといって、売上が来月から2倍に増えるわけではない。
広告運用は短期戦ではなく長期戦と捉えておくべき、ということをまず頭に入れておこう。
広告出稿後すぐに効果がでないからと言って、翌月にはすぐに配信をやめたり、広告代理店にクレームを出すのは正解とは言えない。
ネット広告は失敗を繰り返しながら少しずつ成長し、一歩ずつゴールへと近づいていくのだ。
失敗を繰り返すことで、AIが知識をつけていく。
ネット広告の世界では”機械学習”と言われ、コンピューターが大量のデータを学習し分析することで、自分だけの知識に頼らなくともAIが最も成果が出やすい広告が出せるよう手助けしてくれるのだ。
もちろんAI頼りだけではいけないが、あなたの広告運用は成長しない可能性はあっても後退はしない、言い換えるならば伸びしろしかないのである。

ネット広告は出稿してからが始まり

上述にもある通り広告運用は長期戦だ。
長く運用すればするほど、ネット広告ではたくさんの発見とひらめきに出会える。
最初の広告設定をして終わりではなく、そこからが始まりなのだ。
広告運用は毎日が勉強。日々のデータから学べない内容はない。

そして、少しずつ変化していく広告データを把握し柔軟に対応していくためにも、最低でもこれらの項目は毎日チェックを欠かしてはいけない。

  • 関係のない検索クエリはないか
  • 毎日のクリック単価は急に高くなっていないか
  • オークション分析は落ちていないか
  • 配信が偏ってきてはいないか
  • 前回のCVはどのキーワードに反応してきたのか

毎日チェックしないということは、とても重要な何かを毎日ゴミ箱に捨てているのも同然だ。
毎日チェックする事で小さな変化にも気づけるようになる。
小さな変化に気づける事で、あなたにしかわからない広告出稿のヒントが手に入る。
そのヒントはすべての広告運用に使えるものではなく、あくまでも、あなたが今担当している広告だけに使える特別なヒントとなる。
これはネットで検索してSEOで上位表示された記事の中には載っていないことだろう。
教科書や無料の記事だけを読み進めて広告運用をするのか、あなただけのヒントを手に入れながら広告運用をするのとでは、成果の差は歴然だ。

広告費を無駄と見るか、必要経費と見るか

他の企業は年間にどれだけの広告費を使っているのだろうか。
これは広告を出そうと考えている人であれば誰しも気になるところだろう。
業界によっても様々ではあるが、年間500万〜数千万を広告費にあてる企業も少なくはない。
平均相場がわからない人にとって、年間に広告費500万円は高いと感じるかもしれない。
500万円もあれば、設備投資・人件費・原材料費などに充てることができるのに…と考えてしまうだろう。
あなたの広告に充てた費用が最も高い費用対効果をだすうえで適した金額であったのかは、正直運用してみなければわからないが、運用のやり方次第で吉にも凶にもかわる。
「500万」という数字だけ見て「無駄」と感じるか「ビジネスを成長させるうえで必要な経費である」と感じるのかはあなた次第だが、私たちは年間数千万を広告費に投じても利益を得ている企業を数多く知っている。

3.気をつけておきたいネット広告の怖さ

ネット広告の運用は順風満帆とはいかないであろう。しっかりと重要なポイントを理解し知識と経験を手に入れたとしても、それでもうまく行かないことが出てくるはずだ。広告運用者が躓きやすい代表的な事項はこれだ。

急なアルゴリズム変更で効果が下がる

広告だけでなくSEOにもいえることだが、あなたのWebページが常に上位表示されるとは約束できない。
どんなに優秀な広告担当者が運用したとしても、100%はない。なぜなら、主要媒体の1つであるGoogleのアルゴリズムは定期的に変わってしまうからだ。
上位表示されなくなってしまえば、必然的にクリック率やコンバージョン率も落ちてしまうだろう。
しかしここで諦めてはいけない。
上述でもお伝えした通り広告運用に失敗はつきものだ。試行錯誤を繰り返し、柔軟な考え方で改善に挑むことが重要であるといえよう。

急な審査落ち・アカウントBAN

広告を出すうえで避けては通れないのが審査である。
ネット広告であれば何でも出していいというわけではない。
その文章は法律に違反した表現ではないか、その動画広告の内容は成人向けではないかなど、新規で広告出稿する際も、ほんの少し広告の内容を変更する際にも必ず審査がはいる。
自分では法律やポリシーに違反したつもりはなくても、審査落ちしてしまうことも少なくはない。
また、今までは問題なく広告配信できていたにも関わらず急に審査落ちして広告配信ができなくなったり、かと思ったら再審査申請を出したら配信開始に成功したりと、広告運用者はいったい何を信じればいいかわからなくなることも出てくるだろう。
広告審査のガイドラインについては各広告媒体で公表はしているが、あくまで一般的な内容のみ。実際に自分の広告の何がいけなかったのか、詳細は聞いても誰も教えてくれない。
そのため自分で試行錯誤していくしかないのが現状だ。

しかし、もっとやっかいなのがアカウントBANだ。
これはSNS広告でよく見られるのだが、今まで問題なく広告を配信していても、ある日突然広告が止まる。
止まるだけならまだしも、アカウント自体が停止(BAN)されてしまうことがある。
アカウントBANになった場合に広告媒体に問い合わせるという手段もなくはないが、正直試行錯誤したところでアカウントBANが解除されるという事例は少ない。
今まで長い時間をかけて広告の細かい設定をして、以前より少しずつコンバージョン率も伸びてきた矢先にアカウントが止まってしまうことは、広告運用者としてはかなり悔しいだろう。
もちろん何か理由があってアカウント停止になったはずではあるが、詳しい広告審査基準を公表していない以上正解は誰にもわからない。
もし今この記事を読んで「私はまだ1度も審査落ちはしていない」「私なら大丈夫」と思っているのだとしたら、あなたはきっといつか損をする時がくるだろう。
審査落ちやアカウントBANは誰にでも起こりうることだ。
今のうちに各広告媒体の公表している広告審査基準(ガイドライン)を読んでおく事を推奨する。

4.広告運用会社に頼むのも1つの手段

ここまで広告を運用するうえでの重要事項を説明した。
ただし、ここに書いたことはあくまでも基本中の基本であり、全てを理解し実践しなければ高い費用対効果をうむ可能性は極めて低い。
大きな企業であれば恐らく広告運用の担当者がいるため問題はないだろう。
しかし中小企業となると、広告運用に専任の担当者をつけたり、広告につきっきりになることは難しい場合も多いと思う。そんな時は広告運用を行う会社に依頼するのも1つの手だ。
とはいえ、広告運用会社は数多く存在する。当然ながらどの会社でもいいわけではない。過去の実績ももちろん大切ではあるが、あなたの悩みを聞き出し、共に悩み、親身になって対応してくれるような、そんなパートナーとなる会社を見つけて欲しい。
こちらの記事で、本当に信頼すべきWeb集客会社の見分け方について説明しているため目を通してみてはいかがだろうか。
Web集客で騙されたくない!本当に信頼すべき会社を見分ける4つのポイント